タミフル、リレンザに続く、インフルエンザの第三番目の治療薬であるペラミビル(塩野義製薬)の製造と販売の承認が、1月13日、厚生労働省よりおりました。新型インフルエンザが流行し治療薬の需要が高まる中、厚生労働省が審査を優先して極めて早いスピードで承認したことは注目に値します。ペラミビルの正式な承認は、日本が世界で初です。点滴注射の形で投与すること、一回投与(おおよそ15分)のみでタミフルやリレンザを5日間投与したものと同等の効果があること、発症後比較的時間が経っていても効果があること、副作用が少ないことなどが特徴です。人工呼吸器を装着している方や内服ができない人にも投与可能で、さらに、タミフル、リレンザのように発症後48時間以内ではなく、もう少し時間が経ってからも効果があるようですので、発熱してすぐに病院に殺到しなくともよいかもしれません。
詳細は、プレジデントファミリーに掲載されました。
http://www007.upp.so-net.ne.jp/morita/image_keisai/president_family.jpg/
ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。
森田豊医師の公式HP(http://morita.pro/)はこちらからご覧ください。
1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。
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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。
2010年1月15日金曜日
2009年12月24日木曜日
10年ぶりの診療報酬引き上げには、どんな意味があるんでしょう?
以下は、12月24日放送、ニッポン放送、お早うGoodDayでお話した内容です。
政府は、2010年度診療報酬の改定率について、全体で0.19%の引き上げることを決めました。これまで10年は「マイナス改定」で、プラス改定は2000年度以来、10年ぶりです。この引き上げで、長妻厚生労働大臣は「医師不足を解消させたい」としていますが、果たして効果はあるのでしょうか?
以下に私の考えを列挙します。
●小泉政権以来、医療費はずっと抑えられてきました。これがやっと増加に転じたことには、歴史的政治的には意義はあります。しかしながら、診療報酬の引き上げは、医師不足や医療崩壊を防止するための改革には、ほとんどつながらないと考えます。
●国民の負担としては、診療報酬が0.19%増加という数値は、平均年収の方では、保険料が年間285円、外来窓口負担金が一ヶ月あたり7.8円の増加で、それほど大きな問題ではないかもしれません。しかしながら、失業率が高く景気がわるい我が国の国民の負担が少しなりとも増加するのに、もし、あまり大きな効果が望めないとしたら、残念なことです。
●民主党としては、政権交代をして、これまで自民党による医療費削減ということから脱却する、または、政治主導にしたいという、民主党の「何かしたい」というアピールだったようにもとれます。
●特に、長妻厚生労働大臣は「10年ぶりの引き上げによって、医師不足が深刻で非常に厳しい状況に陥っている救急医療や産科、小児科などの体制を充実させるきっかけになると思う」と述べました。しかし、私は、救急医療や産科小児科の体制充実にはつながらないと思います。開業されている医師に対しては、少しの増収はあるかもしれませんが、勤務医にはおいては、診療報酬が増加しても、給与が変わるわけではありません。増えた報酬は、病院経営維持のために回されるのが慣例ですね。救急医療や産科、小児科から医師がいなくなるのは、激務に加えて訴訟のリスクが高いためで、仮に給与をもっと大幅増加させても効果はあまり期待できないと考えます。
●現在の医療が抱えている最大の問題は、第一に、「診療科別の医師数の偏在」。たとえば、救急医療、産科、小児科の医師が慢性的に不足しつつあることです。いわゆる、重労働で訴訟のリスクの高い診療科医師のなり手が少なくなっていることです。第二に、「地域別医師の偏在」。地方では、医師不足のため、近くに通う病院がないという状況まで生じています。
●これらを改善するには、「診療報酬や医療費アップ」では効果は望めません。第一の「診療科別の医師数の偏在」には、診療科別の医師の定員化等を検討すべきです。このようなシステムを構築できるのは、厚生労働省だけです。第二の、「地域別医師の偏在」には、たとえば国公立大医学部出身者に、その地域にある期間、残ってもらうようなシステムを作ることも一つの案ですね。
●診療報酬のような「お金」で、医療崩壊を解決しようとするのではなく、もっと現状を把握した上で、「知恵や英知」で、システム作りをすることの方が重要に思えてなりません。
政府は、2010年度診療報酬の改定率について、全体で0.19%の引き上げることを決めました。これまで10年は「マイナス改定」で、プラス改定は2000年度以来、10年ぶりです。この引き上げで、長妻厚生労働大臣は「医師不足を解消させたい」としていますが、果たして効果はあるのでしょうか?
以下に私の考えを列挙します。
●小泉政権以来、医療費はずっと抑えられてきました。これがやっと増加に転じたことには、歴史的政治的には意義はあります。しかしながら、診療報酬の引き上げは、医師不足や医療崩壊を防止するための改革には、ほとんどつながらないと考えます。
●国民の負担としては、診療報酬が0.19%増加という数値は、平均年収の方では、保険料が年間285円、外来窓口負担金が一ヶ月あたり7.8円の増加で、それほど大きな問題ではないかもしれません。しかしながら、失業率が高く景気がわるい我が国の国民の負担が少しなりとも増加するのに、もし、あまり大きな効果が望めないとしたら、残念なことです。
●民主党としては、政権交代をして、これまで自民党による医療費削減ということから脱却する、または、政治主導にしたいという、民主党の「何かしたい」というアピールだったようにもとれます。
●特に、長妻厚生労働大臣は「10年ぶりの引き上げによって、医師不足が深刻で非常に厳しい状況に陥っている救急医療や産科、小児科などの体制を充実させるきっかけになると思う」と述べました。しかし、私は、救急医療や産科小児科の体制充実にはつながらないと思います。開業されている医師に対しては、少しの増収はあるかもしれませんが、勤務医にはおいては、診療報酬が増加しても、給与が変わるわけではありません。増えた報酬は、病院経営維持のために回されるのが慣例ですね。救急医療や産科、小児科から医師がいなくなるのは、激務に加えて訴訟のリスクが高いためで、仮に給与をもっと大幅増加させても効果はあまり期待できないと考えます。
●現在の医療が抱えている最大の問題は、第一に、「診療科別の医師数の偏在」。たとえば、救急医療、産科、小児科の医師が慢性的に不足しつつあることです。いわゆる、重労働で訴訟のリスクの高い診療科医師のなり手が少なくなっていることです。第二に、「地域別医師の偏在」。地方では、医師不足のため、近くに通う病院がないという状況まで生じています。
●これらを改善するには、「診療報酬や医療費アップ」では効果は望めません。第一の「診療科別の医師数の偏在」には、診療科別の医師の定員化等を検討すべきです。このようなシステムを構築できるのは、厚生労働省だけです。第二の、「地域別医師の偏在」には、たとえば国公立大医学部出身者に、その地域にある期間、残ってもらうようなシステムを作ることも一つの案ですね。
●診療報酬のような「お金」で、医療崩壊を解決しようとするのではなく、もっと現状を把握した上で、「知恵や英知」で、システム作りをすることの方が重要に思えてなりません。
2009年12月8日火曜日
新型インフルエンザの国別死亡率では日本が最も低い
12月8日、フジテレビ、FNNスピークで一部コメントした内容です。
日本では、新型インフルエンザの重症化率や死亡率が低いことや、その理由を記載しました。国内では、季節性インフルエンザにおける死亡率にくらべて、新型インフルエンザでは、10分の1から、50分の1の死亡率と言えます。
また、日本がタミフルなどを容易に使用できる環境にあることなどの特徴性もしめしてあります。
●11月6日のWHOの発表によれば、日本における新型インフルエンザ患者の重症化率(入院した率)は10万人に2.9人、死亡率は100万人に0.2人と、数十カ国の中で最も低い。最も死亡率が高いのは、アルゼンチンで100万人に14.6人でした。日本での死亡率はアメリカの30分の1、世界平均の数百分の1です。なんで日本では、重症化率や死亡率が最も低いのでしょう?。
●これは、日本において、タミフル、リレンザといった抗インフルエンザ薬の供給が十分であり、医師が積極的に処方し、患者も服用できるといった背景に基因する結果と思います。
●たとえば、アメリカでは、米疾病対策センター(CDC)が 「健康な人は新型インフルエンザに感染しても、タミフルやリレンザなど 抗ウイルス薬による治療は原則として必要ない」とする方針を発表しています。供給に限りがあること、耐性ウイルスの出現の恐れなどを理由に挙げています。 逆に日本では、感染症学会が「インフルエンザかどうかわからない疑い例であっても、積極的にタミフルを投与すべき」という方針を発表しています。日本では、インフルエンザキットで陰性の結果がでても、医師の裁量でタミフル、リレンザを処方できるわけです。その結果、日本でのタミフルの同じ人口あたりの消費量は、米国の20倍以上とも言われています。
「熱発したらすぐ医者に行く」国民性の国(日本)と、「熱が出たくらいでは医者には行かない」という国民性の国(他国)では、後者の方が有意に致死率は高くなるのでしょう。
●厚生労働省の徹底的な水際対策から始まり、連日、繰り返された様々なメディアでの積極的な報道姿勢は、我が国では特徴的でした。世界の中でも、我が国は国民全員が、新型インフルエンザに対してとても過敏になったのです。熱発したらすぐ医者に行くという傾向を生み出したのかもしれません。そして、タミフル、リレンザが、他の国より多く処方され、新型インフルエンザの国別死亡率では日本が一番低いという結果になったのだと考えます。
●しかしながら、我々は、この結果を慎重に見なければなりません。まずは、これだけタミフル、リレンザを積極的に多量に使用している我が国は、将来的には、これらの薬の効かない耐性インフルエンザウィルスを生み出す確率も高くなることです。また、グローバルな観点からは、タミフル、リレンザが国際的に偏在なく供給され、必要欠くべからざる人にのみ投与されるのが、正論のようにも思えてなりません。
日本では、新型インフルエンザの重症化率や死亡率が低いことや、その理由を記載しました。国内では、季節性インフルエンザにおける死亡率にくらべて、新型インフルエンザでは、10分の1から、50分の1の死亡率と言えます。
また、日本がタミフルなどを容易に使用できる環境にあることなどの特徴性もしめしてあります。
●11月6日のWHOの発表によれば、日本における新型インフルエンザ患者の重症化率(入院した率)は10万人に2.9人、死亡率は100万人に0.2人と、数十カ国の中で最も低い。最も死亡率が高いのは、アルゼンチンで100万人に14.6人でした。日本での死亡率はアメリカの30分の1、世界平均の数百分の1です。なんで日本では、重症化率や死亡率が最も低いのでしょう?。
●これは、日本において、タミフル、リレンザといった抗インフルエンザ薬の供給が十分であり、医師が積極的に処方し、患者も服用できるといった背景に基因する結果と思います。
●たとえば、アメリカでは、米疾病対策センター(CDC)が 「健康な人は新型インフルエンザに感染しても、タミフルやリレンザなど 抗ウイルス薬による治療は原則として必要ない」とする方針を発表しています。供給に限りがあること、耐性ウイルスの出現の恐れなどを理由に挙げています。 逆に日本では、感染症学会が「インフルエンザかどうかわからない疑い例であっても、積極的にタミフルを投与すべき」という方針を発表しています。日本では、インフルエンザキットで陰性の結果がでても、医師の裁量でタミフル、リレンザを処方できるわけです。その結果、日本でのタミフルの同じ人口あたりの消費量は、米国の20倍以上とも言われています。
「熱発したらすぐ医者に行く」国民性の国(日本)と、「熱が出たくらいでは医者には行かない」という国民性の国(他国)では、後者の方が有意に致死率は高くなるのでしょう。
●厚生労働省の徹底的な水際対策から始まり、連日、繰り返された様々なメディアでの積極的な報道姿勢は、我が国では特徴的でした。世界の中でも、我が国は国民全員が、新型インフルエンザに対してとても過敏になったのです。熱発したらすぐ医者に行くという傾向を生み出したのかもしれません。そして、タミフル、リレンザが、他の国より多く処方され、新型インフルエンザの国別死亡率では日本が一番低いという結果になったのだと考えます。
●しかしながら、我々は、この結果を慎重に見なければなりません。まずは、これだけタミフル、リレンザを積極的に多量に使用している我が国は、将来的には、これらの薬の効かない耐性インフルエンザウィルスを生み出す確率も高くなることです。また、グローバルな観点からは、タミフル、リレンザが国際的に偏在なく供給され、必要欠くべからざる人にのみ投与されるのが、正論のようにも思えてなりません。
2009年11月15日日曜日
新型インフルエンザワクチン投与開始により現場は混乱?
ワクチン1回投与、2回投与など、一転二転しましたが、国内でも新型インフルエンザワクチンの投与が開始されました。そんな中で重大な問題があがってきています。以下に列挙します。
●現場でもっとも問題になっているのが供給されたワクチンの形状です。 ワクチンの1回接種量は、新型も季節性も、成人(13歳以上)0.5 mlで、最も少ない量で0歳児が0.1 mlです。従来の季節性のワクチンは、1 ml容器で供給されていましたが、新型ワクチンは、10 mlと1 mlが混在して供給されました。そして、10 mlの容器の方が多く供給されているようです。生産効率を上げるためだったようです。計算上は20名~100名分のワクチンが1容器に同梱されていることになります。そして、10ml容器中の薬液は、24時間以内に使い切る必要があるのです。一つの容器を開けたら、20名~100名分の人をあつめて24時間以内に使い切らなければならないということは、余分で捨てなければならない無駄なワクチンが生じてしまうことになります。特に一人の投与量の少ない小児科では、一日の摂取患者数をかなり多くしないと、あまったワクチンを捨てなければならないことになります。まさしく小児科の現場は戦場ですね。
国会でも、この問題が取り上げられ、舛添前大臣の「10 mlを使ったら無駄に廃棄することになる」という質問に対し鳩山首相が「破棄されてはならないと思っている」と答弁されています。http://lohasmedical.jp/news/2009/11/06122858.php
11月12日、鳥取県の病院で、余った新型インフルエンザワクチンを職員親族に接種したことが各紙で報じられました。 (2009/11/11読売新聞、朝日新聞、日本海新聞)。 記事の読者は「皆が希望する新型ワクチンを、便宜を図って身内の職員親族に接種するとはなんとずるい病院だろう」と思った人も多いのではないでしょうか。しかし、仮に病院が薬液を破棄していたらどうでしょうか?。その場合「大切な新型ワクチンを破棄していた病院」と報道されていたかもしれません。11月14日になって「新型ワクチン、不便な大瓶 10ミリ、一度に使い切れず」と題す
る記事が朝日新聞に掲載されました。この問題にメスをいれた朝日新聞は大変すばらしいと感じます。ともわれ、この10mlの問題、国も何らかの方針を出すべきではないでしょうか?
●第一優先接種対象である医療従事者ですが、医療側からの必要量と、供給量に大きな差がありました。供給量が少ないので、投与されない医療従事者からの愚痴をよく耳にします。医療従事者の中でも、直接インフルエンザ患者に接する可能性の高い診療科や医療従事者ということに限定されました。しかしながら、この定義が、とても曖昧で、それぞれの病院が独自の考えで対象となる医療従事者を決めているのが現状です。
医師と看護師のみなのか、看護助手、事務も含めるのか、それもすべて各病院で決めることなのです。たとえば、40才以上は、最もインフルエンザに暴露される機会の多い小児科医師でも感染するリスクは低いから投与しないという大学病院もあったり、ほとんどインフルエンザ患者に接する機会のない診療科の医師にも投与していたり、ほとんど患者と接する可能性の少ないところで働いていた薬剤師らにも投与していたり、まったくまとまりのない状況です。病院の中では、なんで「彼らが投与されて、私が投与されないの?」といった意見も耳にします。中には、「私に投与した方が、お国のためになるのでは?」、といった危ない発言も耳にします。根元には、厚生労働省が、それぞれの診療科やインフルエンザに関わる医療従事者の数を把握していなかったことに問題があると思います。どこの病院にどれだけのインフルエンザワクチンを配給するかについても、今回は、病院の申請数を考慮して、それよりも少ない数を配給したわけです。製造期間中、配給する前にかなり時間があったのにも関わらず、どうして、もっとよく調査しなかったのでしょうか?そして、供給量不足ということはかなり前から分かっていたことですから、誰もが納得する一定の基準を、なぜつくらなかったのでしょうか?現場は混乱します。そして何よりも、医療従事者を介する感染拡大を防止するということが目的なのですが、この病院間の投与基準格差により、施設による感染拡大の予防効果に大きな隔たりが出てしまったようにも思います。
●現場でもっとも問題になっているのが供給されたワクチンの形状です。 ワクチンの1回接種量は、新型も季節性も、成人(13歳以上)0.5 mlで、最も少ない量で0歳児が0.1 mlです。従来の季節性のワクチンは、1 ml容器で供給されていましたが、新型ワクチンは、10 mlと1 mlが混在して供給されました。そして、10 mlの容器の方が多く供給されているようです。生産効率を上げるためだったようです。計算上は20名~100名分のワクチンが1容器に同梱されていることになります。そして、10ml容器中の薬液は、24時間以内に使い切る必要があるのです。一つの容器を開けたら、20名~100名分の人をあつめて24時間以内に使い切らなければならないということは、余分で捨てなければならない無駄なワクチンが生じてしまうことになります。特に一人の投与量の少ない小児科では、一日の摂取患者数をかなり多くしないと、あまったワクチンを捨てなければならないことになります。まさしく小児科の現場は戦場ですね。
国会でも、この問題が取り上げられ、舛添前大臣の「10 mlを使ったら無駄に廃棄することになる」という質問に対し鳩山首相が「破棄されてはならないと思っている」と答弁されています。http://lohasmedical.jp/news/2009/11/06122858.php
11月12日、鳥取県の病院で、余った新型インフルエンザワクチンを職員親族に接種したことが各紙で報じられました。 (2009/11/11読売新聞、朝日新聞、日本海新聞)。 記事の読者は「皆が希望する新型ワクチンを、便宜を図って身内の職員親族に接種するとはなんとずるい病院だろう」と思った人も多いのではないでしょうか。しかし、仮に病院が薬液を破棄していたらどうでしょうか?。その場合「大切な新型ワクチンを破棄していた病院」と報道されていたかもしれません。11月14日になって「新型ワクチン、不便な大瓶 10ミリ、一度に使い切れず」と題す
る記事が朝日新聞に掲載されました。この問題にメスをいれた朝日新聞は大変すばらしいと感じます。ともわれ、この10mlの問題、国も何らかの方針を出すべきではないでしょうか?
●第一優先接種対象である医療従事者ですが、医療側からの必要量と、供給量に大きな差がありました。供給量が少ないので、投与されない医療従事者からの愚痴をよく耳にします。医療従事者の中でも、直接インフルエンザ患者に接する可能性の高い診療科や医療従事者ということに限定されました。しかしながら、この定義が、とても曖昧で、それぞれの病院が独自の考えで対象となる医療従事者を決めているのが現状です。
医師と看護師のみなのか、看護助手、事務も含めるのか、それもすべて各病院で決めることなのです。たとえば、40才以上は、最もインフルエンザに暴露される機会の多い小児科医師でも感染するリスクは低いから投与しないという大学病院もあったり、ほとんどインフルエンザ患者に接する機会のない診療科の医師にも投与していたり、ほとんど患者と接する可能性の少ないところで働いていた薬剤師らにも投与していたり、まったくまとまりのない状況です。病院の中では、なんで「彼らが投与されて、私が投与されないの?」といった意見も耳にします。中には、「私に投与した方が、お国のためになるのでは?」、といった危ない発言も耳にします。根元には、厚生労働省が、それぞれの診療科やインフルエンザに関わる医療従事者の数を把握していなかったことに問題があると思います。どこの病院にどれだけのインフルエンザワクチンを配給するかについても、今回は、病院の申請数を考慮して、それよりも少ない数を配給したわけです。製造期間中、配給する前にかなり時間があったのにも関わらず、どうして、もっとよく調査しなかったのでしょうか?そして、供給量不足ということはかなり前から分かっていたことですから、誰もが納得する一定の基準を、なぜつくらなかったのでしょうか?現場は混乱します。そして何よりも、医療従事者を介する感染拡大を防止するということが目的なのですが、この病院間の投与基準格差により、施設による感染拡大の予防効果に大きな隔たりが出てしまったようにも思います。
2009年9月9日水曜日
子宮頸がんの予防ワクチンに関して
今日は話題を変えて、子宮頸がんの予防ワクチンに関して、概説します。
この内容は、9月14日発売の、サンデー毎日(9月27日号)にも一部掲載されます。
( http://www007.upp.so-net.ne.jp/morita/html/keisai_06.htm )
●体の臓器には、様々ながんができますが、そのほとんどの発症理由は解明されていません。たとえば、タバコを吸う人に肺がんが多いことはわかっていても、吸ったことのない人にも肺がんは生じます。確率的にタバコを吸っている人に肺がんが多いというのは、いわゆる疫学調査であって、本質的ながんの原因究明がなされた訳ではありません。しかしながら、子宮頸がんに関しては、ここ20,30年の間に大きな医学の進歩があったように思います。子宮頸がんの原因が、性交渉を通じたヒトパピローマウィルス(HPV)の感染によっておこり、ワクチン投与により、70%もの方が、その感染を予防できるという事実です。すでに、オーストラリアのように、12、13歳を対象に、13~18歳までの学校終了までの期間に、全員が無料で受けられるようになっている国があることや、イギリス国内では、12歳女子へのワクチン接種率は、およそ90%に達していて、その背景には学校教育、テレビ、携帯サイト、ホームページなどでの広報活動の存在があったことも事実です。近くの国で言えば、韓国も投与が開始されています。主として欧米諸国、世界108カ国でワクチンが承認、使用されているのです。がんの発症を100%防ぐというわけではありませんが、70%(日本国内では、60%ぐらいになる見込み)の子宮頸がんの予防できる医学的見地から、きわめて有用なワクチンであり、画期的な医学の進歩といえるでしょう。
国内でも、遅い進行ではありますが、何とか近々、ワクチンの投与承認許可がもらえる見込みとなってきました。ともあれ、多くの人たちが、上記の情報を知ってもらいたいと願う次第です。国によっても若干異なりますが、投与時期のほとんどが、12、13歳というきわめて低い年齢であることは、おそらく多くの方々がびっくりするように思います。理由は、性行為を開始する前だと、高い効果が望めるからです。
●その上で、日本のお父さん、お母さんが、自分の中学生の娘さんにワクチンをうけさせるかどうかが問題となってきます。日本では、性の問題が、欧米諸国と比べて、タブー視されてきました。性教育のほとんどが、保健体育の授業(おもに女子生徒のみを対象)のみにゆだねられ、家庭内で話し合われることはきわめて少ないのが事実だと思います(特に父親が話をすることは皆無といってもいいでしょう)。これは、それぞれの国の歴史的な背景によるのかもしれません。そんな状況の中で、おそらく3万円から5万円(未定)もするワクチンですから、自分の娘さんに打つかどうかに関して、両親の判断、そして、両親から娘さんへの説明も必要になってくるわけです。すなわち、学校任せにしていた性教育を、家庭の場でも話し合わねばならない時期に来たともいえるでしょう。幼児のように、何のワクチンだか説明もしないで打ってしまうわけにはいきませんね。
●これまでの学校教育に任せていた性教育の在り方を、見直す時期なのかもしれません。
ワクチン承認された後、ワクチンの普及や接種は、産婦人科医が主に行うでしょう。しかし、12、13歳のお子さんが親と一緒に産婦人科に受診となると、かなり抵抗をしめすことが懸念されます。ワクチン普及には、行政(厚生労働省)、教師(学校)、両親、小児科医、メディア、製薬会社、インターネットなど、多くの分野、人たちの、性に対する適切な指導が必要となってきます。12,13歳の女子たちが混乱しないように。
●12、13歳の娘にワクチン接種を行うことが、性交に対して『お墨付き』につながるのでは、という反対意見もあり、たとえば、アメリカの一部でも反対運動がありました。
ただし、国内の現状の初交年齢や( http://homepage3.nifty.com/m-suga/young.html )
、若年者における性の知識の普及度を鑑みると、12、13歳の娘さんに、ワクチンの重要性を説明したからといって、必ずしも、性交を『よし』とすることにはならず、親子で、性について考えるよいきっかけにもなるのではないかと、私は思っています。すなわち、ワクチン接種の問題だけではなく、妊娠や避妊の問題、性行為感染症の問題など、良い方向に、性教育が広まっていく可能性も多々あると思います。なかなかこれまで、妊娠や避妊、性行為感染症といった問題を家で、娘さんと議論するきっかけがなかったように思いますが、子宮頸がんという病気からであれば、それを突破口として、避妊や性行為に関して話をする場をつくる契機にもなるように思います。
●この画期的なワクチンを、若い女性の性行動や性教育も含めて、円滑に普及させることは意義があります。公的助成や、厚労省のリーダーシップなども期待したいところですね。
この内容は、9月14日発売の、サンデー毎日(9月27日号)にも一部掲載されます。
( http://www007.upp.so-net.ne.jp/morita/html/keisai_06.htm )
●体の臓器には、様々ながんができますが、そのほとんどの発症理由は解明されていません。たとえば、タバコを吸う人に肺がんが多いことはわかっていても、吸ったことのない人にも肺がんは生じます。確率的にタバコを吸っている人に肺がんが多いというのは、いわゆる疫学調査であって、本質的ながんの原因究明がなされた訳ではありません。しかしながら、子宮頸がんに関しては、ここ20,30年の間に大きな医学の進歩があったように思います。子宮頸がんの原因が、性交渉を通じたヒトパピローマウィルス(HPV)の感染によっておこり、ワクチン投与により、70%もの方が、その感染を予防できるという事実です。すでに、オーストラリアのように、12、13歳を対象に、13~18歳までの学校終了までの期間に、全員が無料で受けられるようになっている国があることや、イギリス国内では、12歳女子へのワクチン接種率は、およそ90%に達していて、その背景には学校教育、テレビ、携帯サイト、ホームページなどでの広報活動の存在があったことも事実です。近くの国で言えば、韓国も投与が開始されています。主として欧米諸国、世界108カ国でワクチンが承認、使用されているのです。がんの発症を100%防ぐというわけではありませんが、70%(日本国内では、60%ぐらいになる見込み)の子宮頸がんの予防できる医学的見地から、きわめて有用なワクチンであり、画期的な医学の進歩といえるでしょう。
国内でも、遅い進行ではありますが、何とか近々、ワクチンの投与承認許可がもらえる見込みとなってきました。ともあれ、多くの人たちが、上記の情報を知ってもらいたいと願う次第です。国によっても若干異なりますが、投与時期のほとんどが、12、13歳というきわめて低い年齢であることは、おそらく多くの方々がびっくりするように思います。理由は、性行為を開始する前だと、高い効果が望めるからです。
●その上で、日本のお父さん、お母さんが、自分の中学生の娘さんにワクチンをうけさせるかどうかが問題となってきます。日本では、性の問題が、欧米諸国と比べて、タブー視されてきました。性教育のほとんどが、保健体育の授業(おもに女子生徒のみを対象)のみにゆだねられ、家庭内で話し合われることはきわめて少ないのが事実だと思います(特に父親が話をすることは皆無といってもいいでしょう)。これは、それぞれの国の歴史的な背景によるのかもしれません。そんな状況の中で、おそらく3万円から5万円(未定)もするワクチンですから、自分の娘さんに打つかどうかに関して、両親の判断、そして、両親から娘さんへの説明も必要になってくるわけです。すなわち、学校任せにしていた性教育を、家庭の場でも話し合わねばならない時期に来たともいえるでしょう。幼児のように、何のワクチンだか説明もしないで打ってしまうわけにはいきませんね。
●これまでの学校教育に任せていた性教育の在り方を、見直す時期なのかもしれません。
ワクチン承認された後、ワクチンの普及や接種は、産婦人科医が主に行うでしょう。しかし、12、13歳のお子さんが親と一緒に産婦人科に受診となると、かなり抵抗をしめすことが懸念されます。ワクチン普及には、行政(厚生労働省)、教師(学校)、両親、小児科医、メディア、製薬会社、インターネットなど、多くの分野、人たちの、性に対する適切な指導が必要となってきます。12,13歳の女子たちが混乱しないように。
●12、13歳の娘にワクチン接種を行うことが、性交に対して『お墨付き』につながるのでは、という反対意見もあり、たとえば、アメリカの一部でも反対運動がありました。
ただし、国内の現状の初交年齢や( http://homepage3.nifty.com/m-suga/young.html )
、若年者における性の知識の普及度を鑑みると、12、13歳の娘さんに、ワクチンの重要性を説明したからといって、必ずしも、性交を『よし』とすることにはならず、親子で、性について考えるよいきっかけにもなるのではないかと、私は思っています。すなわち、ワクチン接種の問題だけではなく、妊娠や避妊の問題、性行為感染症の問題など、良い方向に、性教育が広まっていく可能性も多々あると思います。なかなかこれまで、妊娠や避妊、性行為感染症といった問題を家で、娘さんと議論するきっかけがなかったように思いますが、子宮頸がんという病気からであれば、それを突破口として、避妊や性行為に関して話をする場をつくる契機にもなるように思います。
●この画期的なワクチンを、若い女性の性行動や性教育も含めて、円滑に普及させることは意義があります。公的助成や、厚労省のリーダーシップなども期待したいところですね。
TBS特番放送を終えて
9月8日、TBSの夜の特番で、「ネプクリニック!開業 180度変わる医学常識 今夜スッキリ解決SP」が報道されました。収録は3時間あまりにも及び、私も含め医師9名、皆、疲弊した様子でしたが、最終的にはとても上手に編集され、多くの方々から反響のメールを頂戴しました。ありがとうございました。
出演者:原田泰造、堀内健/司会:鈴木おさむ、テリー伊藤、加藤シルビア、名倉潤、竹内香苗
シワ&たるみ消失!?耳の皮ふ培養で肌が10年若返る超最新美容術▽熱が出たら汗をかけ…は大間違い!?ビールは飲んでも太らない!?これまで常識だと思っていたことが、今では逆になっている医学の「新常識」を紹介する。専門医がその根拠を解説し、パネリストが自由に質問する。パネリストはネプチューンの原田泰造、堀内健。司会はネプチューンの名倉潤、竹内香苗アナウンサーでした。
2009年9月5日土曜日
政権交代と舛添厚生労働大臣
総選挙は民主党が圧勝に終わりました。政権交代によって、医療現場がどう変わっていくのか、まだまだ全く不明瞭です。少なくとも民主党が選挙前にかかげた医療に対する政策は、再検討する必要があると危惧しています。民主党がかかげる医師数の1.5倍増員にも、各大学医学部が受け入れ困難と難色を示しています。私は、医師の偏在化(地域間の偏在、診療科別の偏在)の打開策を考えない限り、医療崩壊は止まらないと思います(私の著書、『産科医が消える前に』、朝日新聞出版に記述http://www007.upp.so-net.ne.jp/morita/)。医師の偏在化の是正こそ、医療崩壊を止める鍵だと感じます。
さて、選挙前後、ましてや政権交代とすると、各大臣の存在感はなくなり、大人しくしているのが通常でしょうが、今回の舛添厚生労働大臣だけは、輝いて見えました。日本で第一号患者が出たときの記者会見や、その後の水際対策には、批判的な意見も多く、私もこのブログで批判してきました。しかし、今の舛添大臣は、違うように思いました。9月4日の時事通信によれば、
「厚生労働省は4日、新型インフルエンザのワクチンについて、接種対象者の優先順位案を発表し、診療に当たる医療従事者を最優先とし、次いで妊婦と持病のある人、小学校就学前の小児、1歳未満の乳児の両親の順で優先グループとした。同省は国民から意見を募集。専門家や患者団体側の意見も聴き、月内に正式決定する。国内4社が来年3月までに製造可能なワクチンは約1800万~3000万人分にとどまる見通しで、優先グループにまず割り当てる。小中高校生と高齢者には国産が足りない分、海外メーカーから輸入したワクチンを用いる。輸入ワクチンは当初、国内の臨床試験(治験)を省略する「特例承認」を検討するとしていた。しかし、国内で使用されたことのない免疫補助剤(アジュバント)が添加されており、副作用リスクが高いとみられることから、接種開始前に小規模な治験を行い、接種後に問題が生じた場合には使用を中止することにした」。
立つ鳥跡を濁さずという言葉がありますが、最後の最後まで、よくがんばっている様子を感じました。少なくとも、新型インフルエンザに対しては、自民党が四苦八苦し、試行錯誤して、ここまでにたどり着いた経験が、民主党へ円滑に引き継がれることを祈願します。
さて、選挙前後、ましてや政権交代とすると、各大臣の存在感はなくなり、大人しくしているのが通常でしょうが、今回の舛添厚生労働大臣だけは、輝いて見えました。日本で第一号患者が出たときの記者会見や、その後の水際対策には、批判的な意見も多く、私もこのブログで批判してきました。しかし、今の舛添大臣は、違うように思いました。9月4日の時事通信によれば、
「厚生労働省は4日、新型インフルエンザのワクチンについて、接種対象者の優先順位案を発表し、診療に当たる医療従事者を最優先とし、次いで妊婦と持病のある人、小学校就学前の小児、1歳未満の乳児の両親の順で優先グループとした。同省は国民から意見を募集。専門家や患者団体側の意見も聴き、月内に正式決定する。国内4社が来年3月までに製造可能なワクチンは約1800万~3000万人分にとどまる見通しで、優先グループにまず割り当てる。小中高校生と高齢者には国産が足りない分、海外メーカーから輸入したワクチンを用いる。輸入ワクチンは当初、国内の臨床試験(治験)を省略する「特例承認」を検討するとしていた。しかし、国内で使用されたことのない免疫補助剤(アジュバント)が添加されており、副作用リスクが高いとみられることから、接種開始前に小規模な治験を行い、接種後に問題が生じた場合には使用を中止することにした」。
立つ鳥跡を濁さずという言葉がありますが、最後の最後まで、よくがんばっている様子を感じました。少なくとも、新型インフルエンザに対しては、自民党が四苦八苦し、試行錯誤して、ここまでにたどり着いた経験が、民主党へ円滑に引き継がれることを祈願します。
2009年8月16日日曜日
民主党の医療政策(マニフェスト等から)についての私の検証
月末の総選挙で政権をとるであろう民主党のマニフェスト等、医療に関する政策に関して私の検証を書きました。
一部は、サンデー毎日8月16日、23日号に、連載されます。
結論は、民主党は今一度、現実を見据えた政策を再考すべきではないか、ということです。
●民主党の新型インフルエンザに関する考え方
目前にある危機は中程度の毒性ウイルスによる第二波到来。危機管理体制を再構築、診断・相談治療体制の実態を速やかに把握できるようにする。発熱センターを強化し、感染症対応の隔離個室確保、整備。各医療機関の診療マニュアル策定、陰圧個室設置、治療用テント、医療資器材、施設設備を国の予算で十分な額を支援。徹底した情報開示を恒常化し、新型インフル行動計画ガイドラインを全面的に見直し、検疫法のあり方を検討。強毒性新型インフルのプレパンデミックワクチンを希望者すべてが受けられる体制を整備し、輸血を介した感染防止の新技術を導入。被害を最小限にとどめるため日中韓を中心に東アジア全体で新型インフルに対応できる体制をつくる。
●私の検証(民主党の新型インフルエンザ)
民主党が「目前にある危機」としてマニフェストに掲げた「中程度の毒性のウイルスによる第二波の到来」に対して、「感染症対応の隔離個室確保・整備」と明記していたことには驚きました。これでは医療現場がパニックを起こすでしょうね。隔離個室の確保には通常個室を転用しなければならないし、増床などすぐにはできないことで、そのために、がんや糖尿病などで個室入院中の患者に移動してもらわなければなりません。診療所や民間医療機関はそれを避けるため、新型の疑いの患者を敬遠することも考えられます。まさしく、この政策は、医療崩壊を助長することになります。そもそも、自民党がすでに、「今回の新型インフルエンザは弱毒性で、季節性インフルエンザと同等にあつかう」と、それまでの自らの政策に関して、反省をこめて経験を生かして結論づけたことが、全く引き継がれられないことは、残念でたまりません。「発熱センター、隔離個室、陰圧個室、治療用テント」、すべて、時代の後戻りです。どうして、新型インフルエンザだけが、毒性を変えると断定し騒ぐのだろうか? 季節性インフルエンザで多くの死亡者がでていることや、毒性を変える可能性もあることを理解してもらいたい。むしろ「院内感染対策の徹底」や「医療従事者の感染防止強化」など、経験を生かして医療が求める政策をたてた自民党の方が賢明だと思います。また、民主党は「希望者のすべてが受けられる体制に整備」としていますが、実際、生産量には限度があり不可能なことは、わかっているはずです。ワクチンの争奪戦になれば国際問題になるのは避けられないでしょう。「東アジア全体で体制をつくる」というのも、国際的にはよくわからない話である。
●民主党のがん対策に関する考え方
国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立させる。乳がんや子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃性が高いがん検診受診率を大幅に向上させるよう受診しやすい体制を整備。がん予防に有効なワクチンの開発・接種の推進、禁煙対策のがんなど有効徹底化等を通じて、がんの予防対策をより一層強固なものにする。また、がん患者への最新のがん関連情報の提供や相談支援体制などの充実を図り、日本のがん対策の現状把握、がん登録の法制化も検討。化学療法専門医、放射線治療専門医も養成。
●私の検証(民主党のがん対策)
マニフェストで、民主党は「国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立させる」と明記していますが、しかし、具体的にそれをどう進めるかには触れてはいません。これは、医療崩壊をくい止めるための、医師の地域間、診療科間の偏在性是正というもっとも重要な問題です。たとえば、僻地医療をになう勤務医の収入を大幅に上げる、国公立大を奨学金で卒業した学生は僻地赴任義務を10年間負うといった抜本的対策に踏み込まない限り改善は進まないのではないかと思います。自民党も「医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度」と書いてはいますが、残念ながら、制度は2年。3年目には医師が希望地へ散逸していくのは防げないのでしょうが、民主党の漠然とした理想論よりは、より具体的かもしれません。
●民主党の救急医療に関する考え方
救急本部は、通報内容から患者の緊急度、重症度を判断し、継承の場合は医療機関の紹介等を行い、重症の場合は救急車や消防防災ヘリ、ドクターカー・ドクターヘリ等、最適な搬送手段により医療機関に搬送。そのため現在96台のドクターカーをすべて209ヵ所の救急救命センターに配置し、72機の消防防災ヘリをドクターヘリとしても活用できるよう高規格化し救急本部ごとのドクターヘリ(現在16機)配備を目指す。救急救命士の職務拡大を着実に図る。救急搬送時、意識障害の鑑別には血糖値の測定が必要であり、救急救命士も簡易な血糖値の測定ができるよう体制の整備に着手。
●私の検証(民主党の救急医療対策)
ドクターカー、ドクターヘリなど、アトラクティブな語彙を並べているが、これで何人の数の患者が救われるのか、大きな変革、抜本的な改革にはならないと思います。また、救急救命士の血糖値測定というきわめて、末端なことに触れたのはなぜなのか、これも疑問です。
救急医療対策でもっとも大事なのは、前述した医師の地域間、診療科間の偏在性是正でしょう。民主党も自民党も、医師数増加をあげているが、もっとも大事なのは、偏在化の是正です。自民党の言う「大学病院の医療体制を整備し、医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度とする。社会保険病院・厚生年金病院については、地域医療の確保の観点から必要な病院機能を維持するよう対応する。診療報酬は救急や産科をはじめとする地域医療を確保するため、来年度プラス改定を行う。」の方が、まだ具体性があるように思います。
一部は、サンデー毎日8月16日、23日号に、連載されます。
結論は、民主党は今一度、現実を見据えた政策を再考すべきではないか、ということです。
●民主党の新型インフルエンザに関する考え方
目前にある危機は中程度の毒性ウイルスによる第二波到来。危機管理体制を再構築、診断・相談治療体制の実態を速やかに把握できるようにする。発熱センターを強化し、感染症対応の隔離個室確保、整備。各医療機関の診療マニュアル策定、陰圧個室設置、治療用テント、医療資器材、施設設備を国の予算で十分な額を支援。徹底した情報開示を恒常化し、新型インフル行動計画ガイドラインを全面的に見直し、検疫法のあり方を検討。強毒性新型インフルのプレパンデミックワクチンを希望者すべてが受けられる体制を整備し、輸血を介した感染防止の新技術を導入。被害を最小限にとどめるため日中韓を中心に東アジア全体で新型インフルに対応できる体制をつくる。
●私の検証(民主党の新型インフルエンザ)
民主党が「目前にある危機」としてマニフェストに掲げた「中程度の毒性のウイルスによる第二波の到来」に対して、「感染症対応の隔離個室確保・整備」と明記していたことには驚きました。これでは医療現場がパニックを起こすでしょうね。隔離個室の確保には通常個室を転用しなければならないし、増床などすぐにはできないことで、そのために、がんや糖尿病などで個室入院中の患者に移動してもらわなければなりません。診療所や民間医療機関はそれを避けるため、新型の疑いの患者を敬遠することも考えられます。まさしく、この政策は、医療崩壊を助長することになります。そもそも、自民党がすでに、「今回の新型インフルエンザは弱毒性で、季節性インフルエンザと同等にあつかう」と、それまでの自らの政策に関して、反省をこめて経験を生かして結論づけたことが、全く引き継がれられないことは、残念でたまりません。「発熱センター、隔離個室、陰圧個室、治療用テント」、すべて、時代の後戻りです。どうして、新型インフルエンザだけが、毒性を変えると断定し騒ぐのだろうか? 季節性インフルエンザで多くの死亡者がでていることや、毒性を変える可能性もあることを理解してもらいたい。むしろ「院内感染対策の徹底」や「医療従事者の感染防止強化」など、経験を生かして医療が求める政策をたてた自民党の方が賢明だと思います。また、民主党は「希望者のすべてが受けられる体制に整備」としていますが、実際、生産量には限度があり不可能なことは、わかっているはずです。ワクチンの争奪戦になれば国際問題になるのは避けられないでしょう。「東アジア全体で体制をつくる」というのも、国際的にはよくわからない話である。
●民主党のがん対策に関する考え方
国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立させる。乳がんや子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃性が高いがん検診受診率を大幅に向上させるよう受診しやすい体制を整備。がん予防に有効なワクチンの開発・接種の推進、禁煙対策のがんなど有効徹底化等を通じて、がんの予防対策をより一層強固なものにする。また、がん患者への最新のがん関連情報の提供や相談支援体制などの充実を図り、日本のがん対策の現状把握、がん登録の法制化も検討。化学療法専門医、放射線治療専門医も養成。
●私の検証(民主党のがん対策)
マニフェストで、民主党は「国内どこに住んでいても最善のがん検診・治療が受けられる体制を確立させる」と明記していますが、しかし、具体的にそれをどう進めるかには触れてはいません。これは、医療崩壊をくい止めるための、医師の地域間、診療科間の偏在性是正というもっとも重要な問題です。たとえば、僻地医療をになう勤務医の収入を大幅に上げる、国公立大を奨学金で卒業した学生は僻地赴任義務を10年間負うといった抜本的対策に踏み込まない限り改善は進まないのではないかと思います。自民党も「医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度」と書いてはいますが、残念ながら、制度は2年。3年目には医師が希望地へ散逸していくのは防げないのでしょうが、民主党の漠然とした理想論よりは、より具体的かもしれません。
●民主党の救急医療に関する考え方
救急本部は、通報内容から患者の緊急度、重症度を判断し、継承の場合は医療機関の紹介等を行い、重症の場合は救急車や消防防災ヘリ、ドクターカー・ドクターヘリ等、最適な搬送手段により医療機関に搬送。そのため現在96台のドクターカーをすべて209ヵ所の救急救命センターに配置し、72機の消防防災ヘリをドクターヘリとしても活用できるよう高規格化し救急本部ごとのドクターヘリ(現在16機)配備を目指す。救急救命士の職務拡大を着実に図る。救急搬送時、意識障害の鑑別には血糖値の測定が必要であり、救急救命士も簡易な血糖値の測定ができるよう体制の整備に着手。
●私の検証(民主党の救急医療対策)
ドクターカー、ドクターヘリなど、アトラクティブな語彙を並べているが、これで何人の数の患者が救われるのか、大きな変革、抜本的な改革にはならないと思います。また、救急救命士の血糖値測定というきわめて、末端なことに触れたのはなぜなのか、これも疑問です。
救急医療対策でもっとも大事なのは、前述した医師の地域間、診療科間の偏在性是正でしょう。民主党も自民党も、医師数増加をあげているが、もっとも大事なのは、偏在化の是正です。自民党の言う「大学病院の医療体制を整備し、医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度とする。社会保険病院・厚生年金病院については、地域医療の確保の観点から必要な病院機能を維持するよう対応する。診療報酬は救急や産科をはじめとする地域医療を確保するため、来年度プラス改定を行う。」の方が、まだ具体性があるように思います。
2009年8月8日土曜日
妊婦の新型インフルエンザ、抗インフルエンザ薬の使用
妊婦の新型インフルエンザ感染に関して、日本産科婦人科学会は8月7日までに、「妊婦もしくは褥婦に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A」を改訂しましたhttp://www.jsog.or.jp/ 。この中で、「妊婦は重症化しやすいことが明らかになりました」と注意喚起し、タミフルなどの抗インフルエンザ薬の状況に応じた早期服用や予防的服用を勧めるよう医療関係者に求めています。妊婦がインフルエンザ様症状(38度以上の発熱と急性呼吸器症状)を訴えた場合の対応について、「産婦人科への直接受診は避けさせ、地域の一般病院へあらかじめ電話をしての早期受診を勧める」としています。これは、妊婦から妊婦への感染を防止するため、重要なことと考えます。
タミフルなどの投薬は、妊婦の重症化防止に効果があるとしながらも、抗インフルエンザ薬の胎児への影響については、「抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した児に有害事象の報告はない」との2007年の米国疾病予防局ガイドラインの記載を紹介した上で、服用による利益が「可能性のある薬剤副作用より大きいと考えられている」としています。医療現場では、「可能性のある薬剤副作用より大きい」かどうか、という判断はなかなか難しいのが現状でしょう。
また、妊婦にかかわらず、患者と密に接した人たちへの抗インフルエンザ薬への予防的投与についてはまだ議論があります。無論、客観的にリスクの高い人への投与は重要でしょうが、皆が過剰に心配して、我が国だけが、多量の薬を消費してしまうことを危惧します。
タミフルなどの投薬は、妊婦の重症化防止に効果があるとしながらも、抗インフルエンザ薬の胎児への影響については、「抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した児に有害事象の報告はない」との2007年の米国疾病予防局ガイドラインの記載を紹介した上で、服用による利益が「可能性のある薬剤副作用より大きいと考えられている」としています。医療現場では、「可能性のある薬剤副作用より大きい」かどうか、という判断はなかなか難しいのが現状でしょう。
また、妊婦にかかわらず、患者と密に接した人たちへの抗インフルエンザ薬への予防的投与についてはまだ議論があります。無論、客観的にリスクの高い人への投与は重要でしょうが、皆が過剰に心配して、我が国だけが、多量の薬を消費してしまうことを危惧します。
2009年7月5日日曜日
インフルエンザに関する身近なお話
今日は、身近なお話をブログに書き込むことにしました。「すてきな奥さん(主婦と生活社)」9月号、(8月1日発売)でも、詳細を監修します。
●ためになるであろうQ&Aです。
(1) 新型インフルエンザが世界的に流行しているから、海外旅行、海外への出張は、中止にした方がいい?→これには、賛否両論があるようですが、国際的には間違いのようです。6月18日のWHO事務局長の発言でも、「警戒水準の引き上げに当たって、渡航制限、旅行、企業活動自粛など人やモノの移動を制限する措置が必要のないこと」を説明しています。
(2) 熱がそんなに上がっていないから(たとえば37、7度)、インフルエンザではない?→熱だけでは判断できず、熱があまりあがらないインフルエンザのこともあります。
(3) 風邪ぐらいで仕事を休むなと職場の上司に言われました。がんばって仕事に行くべき?→これは、大きな間違いです。休むべきです。今回の新型インフルエンザの騒動を契機に、職場でも、無理して出勤しない。それぞれの人が、病気で欠勤した場合の対策を考えておくことが肝要かと思います。
(4) タミフルとリレンザ、どっちがいい?→まだどちらがよいか、はっきり立証されていません。しかし、タミフルが効きにくい新型インフルエンザもわずかに発見されつつあり、その場合にはリレンザが主役になります。
(5) 熱が下がっても念のため薬は飲み続ける?→熱が下がっていても、感染力がなくなったとは言えませんので、医師の指示に従うべきです。
(6) 新型インフルエンザもワクチン予防すれば問題ないんでしょ?→従来の季節性インフルエンザでも、予防接種(ワクチン)の効果は70から90%で、限界があります。新型についても、今後の成績を見なければわかりませんが、ワクチンをうったから大丈夫ということは、ありません。ワクチンをうった上で、様々な予防法が重要です。
(7) 若いからインフルエンザなんて病院にいかなくって自分で治せる?→新型インフルエンザは、若い人ほどかかりやすいことが立証されつつあります。理由ははっきり分かっていませんが、大人は、このウィルスに近いウィルスに幼少時に暴露され、抗体を有している可能性が指摘されています。ですから若い人ほど、医療機関での診断、治療が必要となります。
●秋冬には、季節性インフルエンザ、新型インフルエンザの両者の患者数が激増することが予想されます。すなわち、気温が低くなり、かつ空気が乾燥すること(10℃前後で、乾燥した環境でウイルスが繁殖しやすい)によるものです。また、将来的には変異する可能性(弱毒性から強い毒性に変わること)も、否定できません。しかしながら、タミフルに効かないインフルエンザが出てきても、リレンザや現在開発中の薬などまだまだ対応は可能と思います。最後に、以前のブログでも記載しましたが、インフルエンザの予防法を書きます。
(1)栄養と休息を十分にとって免疫力、抵抗力を高めること。(バランスのよい食事、十分な栄養、睡眠をとること)。(2)咳をしている人の近くにずっといない。近づいたらと思ったら、早めにうがい、手洗い、歯磨きをする。(3) 加湿器などを使用し、湿度を50%以上に保つ。(4) 予防接種をうける。従来の季節性インフルエンザでは、70から90%の方に効果があったようです。新型インフルエンザについても、作成が始まっていますが、投与開始は、秋以降のようです。
●ためになるであろうQ&Aです。
(1) 新型インフルエンザが世界的に流行しているから、海外旅行、海外への出張は、中止にした方がいい?→これには、賛否両論があるようですが、国際的には間違いのようです。6月18日のWHO事務局長の発言でも、「警戒水準の引き上げに当たって、渡航制限、旅行、企業活動自粛など人やモノの移動を制限する措置が必要のないこと」を説明しています。
(2) 熱がそんなに上がっていないから(たとえば37、7度)、インフルエンザではない?→熱だけでは判断できず、熱があまりあがらないインフルエンザのこともあります。
(3) 風邪ぐらいで仕事を休むなと職場の上司に言われました。がんばって仕事に行くべき?→これは、大きな間違いです。休むべきです。今回の新型インフルエンザの騒動を契機に、職場でも、無理して出勤しない。それぞれの人が、病気で欠勤した場合の対策を考えておくことが肝要かと思います。
(4) タミフルとリレンザ、どっちがいい?→まだどちらがよいか、はっきり立証されていません。しかし、タミフルが効きにくい新型インフルエンザもわずかに発見されつつあり、その場合にはリレンザが主役になります。
(5) 熱が下がっても念のため薬は飲み続ける?→熱が下がっていても、感染力がなくなったとは言えませんので、医師の指示に従うべきです。
(6) 新型インフルエンザもワクチン予防すれば問題ないんでしょ?→従来の季節性インフルエンザでも、予防接種(ワクチン)の効果は70から90%で、限界があります。新型についても、今後の成績を見なければわかりませんが、ワクチンをうったから大丈夫ということは、ありません。ワクチンをうった上で、様々な予防法が重要です。
(7) 若いからインフルエンザなんて病院にいかなくって自分で治せる?→新型インフルエンザは、若い人ほどかかりやすいことが立証されつつあります。理由ははっきり分かっていませんが、大人は、このウィルスに近いウィルスに幼少時に暴露され、抗体を有している可能性が指摘されています。ですから若い人ほど、医療機関での診断、治療が必要となります。
●秋冬には、季節性インフルエンザ、新型インフルエンザの両者の患者数が激増することが予想されます。すなわち、気温が低くなり、かつ空気が乾燥すること(10℃前後で、乾燥した環境でウイルスが繁殖しやすい)によるものです。また、将来的には変異する可能性(弱毒性から強い毒性に変わること)も、否定できません。しかしながら、タミフルに効かないインフルエンザが出てきても、リレンザや現在開発中の薬などまだまだ対応は可能と思います。最後に、以前のブログでも記載しましたが、インフルエンザの予防法を書きます。
(1)栄養と休息を十分にとって免疫力、抵抗力を高めること。(バランスのよい食事、十分な栄養、睡眠をとること)。(2)咳をしている人の近くにずっといない。近づいたらと思ったら、早めにうがい、手洗い、歯磨きをする。(3) 加湿器などを使用し、湿度を50%以上に保つ。(4) 予防接種をうける。従来の季節性インフルエンザでは、70から90%の方に効果があったようです。新型インフルエンザについても、作成が始まっていますが、投与開始は、秋以降のようです。