ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年3月17日木曜日

大震災のこと(ザ・ゴールデンアワー)

大震災に関する正しい情報、対処法、都民からの質問を受けるため、東京メトロポリタンテレビジョン、The World Standard TV, ザ・ゴールデンアワーに、連日出演しています。以下に番組でお話したメッセージを示します。
●(放射能の問題)震災から一週間が経ちましたが、振り返ってみると、原発の問題が最も国民を不安にさせました。放射能は、目に見えないし、通常は、被曝しても、体で熱いとか痛いとか感じないし、どこの人が何をどうしたらいいか、どう生活したらいいのか、当惑されたことと思います。
また、原発からの煙や、建物が崩れたりするリアルな衝撃的な映像が、連日、テレビを通じて目に入ってくることも驚愕されたことでしょう。放射能の正しい知識、より具体的な対処法は、テレビ・新聞から入ってきましたが、むしろ、このような国にとっての最重要な指導は、政府から直接、国民に丁寧に指導してほしかったように感じます。とくに、3月15日、火曜日、瞬間でありますが、高濃度の放射能(400ミリシーベルト)が記録された時は、その後の具体的で詳細な生活法の指導があってもよかったように思います。
●(情報の氾濫)
様々な情報が氾濫しています。情報のでてくるところが信頼できるものなのかの見極めが肝要です。
①放射線被曝を避けるため、こんぶをたべる、うがい薬を飲む、消毒薬を飲む→全くあやまった情報、危険です。
②物を買い占める→気持ちは理解できますが、長期視野で理にかなっていません。
③ぎえん金詐欺など→情報がでてくるところが信頼できるかどうかの判断が大切。
●(心の傷、喪失感)
今回の大震災で、失ったものは、家族・友だち、家屋・財産、故郷など、様々です。仮にこれらの一つだけでも失うだけで、強いストレスとなり人間は苦悩に陥ります。今回の大震災では、一つではなく、同時にいくつもの大事なものを重なって失ってしまったかと思うと、今までに経験したことのない計り知れない大きなストレスを受けたことになります。大人は、『心の傷』を言葉などで表現できますが、お子さんは、上手に表現できないため、突然の腹痛、頭痛、吐き気などの症状を起こします。被災地では、このようなお子さんがたくさん出てきています。大人から、子供への、会話、声かけ、密なコミュニケーションが必要です。
●(日本人としての誇り・プライド)
こんな災害の中、海外では、日本の品格、礼儀正しさが、とても称賛されています。特に、米国紙、中国紙が報じています。多少の不道徳な人はいますが、物の奪い合い、けんか、パニック騒動などはほとんど耳にしません。被災地でも整然と列をつくって、物資配給を受けている姿は、日本人の国民性、がまん強さ、品格を世界に示しました。