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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年3月22日火曜日

農作物からの放射性物質のこと(ザ・ゴールデンアワー)

東京メトロポリタンテレビジョン、ザ・ゴールデンアワーで、今夜、お話した内容は以下の通りです。
ここ数日前から、農作物より基準値を超える放射性物質が検出され、昨夜、首相の指示で、福島県、茨城県、栃木県、群馬県からのホウレンソウ、カキ菜、福島県からの原乳の出荷制限が決まりました。官房長官は、仮に口に入ったとしても、ただちに健康に影響を及ぼすものではない、としたうえで、万が一、中長期に継続した場合に備え、今から規制をかけた、としています。これを、自分なりに検証してみました。
(1)ここ数日で、食品に見られた測定値というものは、確かに基準値にくらべて、はるかに高い値で、これだけを見ると怖い印象があります。しかしながら、専門家らの話を検証すると、現在の放射線量は、人体にまったく影響のない数値として、過剰な反応はすることはないようです。特に、店頭で並ぶものは、心配ないのです。たとえば、現在の放射性物質の量だと、100グラムのホウレンソウを4200回食べないと人体に影響を及ぼさない量です。さらに今回放射線がみつかった牛乳を1年間摂取した場合の被曝量は、CTスキャン1回分と説明することができます。
(2)なぜこのような厳重な対応をしたかというと、原発から、まだ煙がでたりと、コントロールにまだ見通しがたっていないので、長期化を想定したうえでの厳重な対応と思います。
(3)心配なのは、風評被害です。ホウレンソウ、カキ菜、牛乳以外のものも、これら4県からの農作物などは、入荷しない、食べないといった風評となる恐れがあります。心理的にそのような風評になる気持ちはわかりますが、パニックしないことです。今後の解決策としては、自治体や国は、その他の農作物の安全性を日々、確認し、正確に保証しなければならないと考えます。可能ならば、店頭で並ぶ農作物には、放射線に関する品質表示も検討してもらいたいです。
(4)都民のできることは、政府など正しい情報には従いますが、間違った風評には惑わされないようにして、どうしても、気になる方は、野菜を、煮るとか、水洗いや、などの方法を行ったらよいかとも思います。食品を加熱処理しても、放射線は影響をうけませんが、加熱の方法として、煮た後に煮汁を捨てて食べることは、周囲についた放射線を取ることができます(約3分の1になるとのことです)。また、水洗いできるような野菜であれば、水溶性の表面汚染を落とせることがあります。