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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年3月9日水曜日

ベイエフエムで、医薬品副作用報告システムについて解説

本朝、bayfm「POWER BAY MORNING」のデリナビで、医薬品副作用報告システムについて解説しました。まだ、あまり知られていないシステムだと思いますが、アメリカなどではもう確立されているシステムです。

●厚生労働省が、今年から試験運用を始めた「医薬品副作用報告システム」とは?
薬には、医者が処方したもの、それからドラッグストアーで買った市販薬などあります。そのいずれでも、様々な、副作用がでることがあります。今回の、「医薬品副作用報告システム」とは、患者さん本人が、ホームページから、その副作用の状態を直接、厚生労働省に報告するシステムです。今までは、患者さんに副作用が生じると、医者に診てもらい、そして、医療機関や、薬の製造販売業者を通じて、厚生労働書への報告されることが、通常の流れで、こうした、患者さんからの直接の情報を、国が集めるシステムはなかったんです。気軽に報告できることで、今まで見過ごされてきた細かい副作用被害も厚労省に伝えることができ、国内での薬の使用がより正しく行われ、安全性を高めるという意味では、画期的です。今年、1月から7月まで、試験的に運用して、8月以降は、情報を分析し、今後のシステム構築へ。年内にも正式なシステムの運用開始を目指すようです。http://rx.di-research.jp/
●このようなシステムが必要とされる背景にはどのようなことが考えられるのでしょうか?
これまで、薬の副作用は、よほど重篤なもの以外は、患者さんも医者も、時間や手間を考えて、報告しないでいたという背景があります。さらに、医者不足により、患者さんとのコミュニケーションをとる診療時間自体が短くなって副作用が出ても、そのまま軽快していくものであれば、問題にされないことが多かったんです。また、医者から処方されたものなどは、直接、医者に言いづらいという場合もあるようです。
●正式な運用に向けての問題点は?
連絡をうけた厚労省がどのような形で、どの程度調査できるのか。また、薬と、その副作用らしき症状との因果関係を、正確に把握できるかどうかも、不明瞭。特に複数のお薬を飲んでいる方は、どの薬の副作用かを判断するのは難しいとも言われています。