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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年3月14日月曜日

大震災のこと(ニッポン放送、私のコメント)

今朝、ニッポン放送、高嶋ひでたけのあさラジ!にて、大震災における医療面に対してコメントしました。
●生存のひとつのポイントは72時間といわれてますが、その理由は?
人は、72時間以上、どこかに閉じ込められて、水などを飲むことができなくなると、死亡率が急激に高まると報告されています。救援物資の中でも、水分と塩分は、命を助けるために、最も大切です。現場は、混乱しているとは思いますが、迅速な、水と塩の配給、そして、閉じ込められている人の救出が、求められています。
●避難した方々は、心も体も疲れています、そういった方が、今、気をつけるべきことは何でしょうか?
大震災を直接、経験して、なんとか、命の危険をまぬがれたものの、心に加えられた衝撃的な傷が原因で、さまざまな、ストレス障害を引き起こす人もかなり多いと考えられます。具体的には、精神的に不安定になり、不安が強くでたり、眠れなくなったりすることです。現在余震が続いていますので、そのことも、気持ちの不安定さや、不安を、さらに深めてしまいます。とくに、子供の場合には、地震などに対する経験がないため、はっきりと原因がわからない、お腹の痛み、頭の痛み、吐き気、悪夢などが繰り返されることも多いのです。
対策としては、まずは、睡眠や、休養をよくとることです。家族、友人、職場で、互いに、相手の心の変化、体調の変化に気をつけあうことが、とても大切です。
●福島第1原子力発電所の周辺から避難した人で、被爆した方々の情報が入っています。除染(おせんをとりのぞく)という治療をするようですが、具体的にはどういった治療方法なんでしょうか?
除染という治療は、被爆した可能性のある人に対して、まずは、体の表面の汚染状態、被爆程度を調べます。そして、必要な人には、少しでも早めに、放射性物質を洗い流す、という治療を行います。具体的には、汚染されている衣類などを脱いでもらい、シャワーなどで、石鹸をつかって、全身(髪の毛も)を洗い流すことです。また、汚染の程度が高い場合には、体をあらった後に生じる廃液の管理が問題になりますので、ぬれタオルなどで拭き取る場合もあります。
●放射性物質から身を守るための注意点は何でしょうか?
今後、放射性物質がさらに強く検出されるようなら、なるべく、自宅などの建物から外にでない。そとの空気が入らないように、ドアと窓をしめる。換気扇も使わないということがポイントです。外出の時には、鼻や口、傷口から、体の中に入ってくる、内部被ばくというものにも注意が必要です。ぬれタオルで、鼻や口をおおうことも意味があります。なるべく、皮膚はださない服装で、外から家の中に入る際には、汚染された心配のある衣類を、家に入る前に脱いで、ビニール袋にいれて、袋の口を縛るなどの配慮が必要です。