ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年10月28日金曜日

ひるおび!、武田鉄矢さんの大動脈弁狭窄症


武田鉄矢さんが、大動脈弁狭窄症で手術をされました。本日のTBS、ひるおび!、冒頭コーナーでは、大動脈弁狭窄症について概説しました。
そもそも、心臓は体に大量の血液を送り出すポンプの役割があります。そして、肺で酸素を取り込んだ血液が、左心房・左心室を通り、大動脈から全身へ送り出されるのです。左心室と大動脈の間にあたる部分にある“血液の逆流を防ぐ弁”が、『大動脈弁』で、この『大動脈弁』がなんらかの原因で狭くなると血液を送り出しにくくなり“大動脈弁狭窄症”になるのです。
 原因としては、リウマチなどの病気によるもの、高齢になり大動脈弁が変性・石灰化した場合、先天性のもの、などがありますが、武田鉄矢さんの場合には、先天性の弁の異常があり、これに加齢が加わったことが背景にあるようです。通常、大動脈弁は3枚のパートから成り立っていますが、武田さんの場合は生まれつき2枚しかない先天性二尖弁です。これに加齢が加わり、弁の線維化や石灰化などが生じ、大動脈弁狭窄症になったのでしょう。
大動脈弁を摘出し、人工の弁に取り替えられたようですが、手術後の経過は良好です。
大動脈弁狭窄症は、軽症では無症状のことが多く、心臓の雑音などで発見されることも多いのですが、病気が進行すると、失神発作・狭心症のような胸の痛みなどを伴い、突然死の原因になることもあります。武田鉄矢さんの場合は、息切れ程度の症状しかない軽症例ですので、手術後の予後は良好と考えられます。
ちなみに、アーノルド・シュワルツェネッガーさんも、同様の手術をされています。