ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年5月2日月曜日

ひるおび!病原性大腸菌「O111」

TBSテレビ、ひるおび!にて、焼肉店のユッケに含まれていた病原性大腸菌について概説しました。
そもそも、大腸菌というのは、健康なお腹の腸にもいて、ほとんどが無害なものが多いのですが、通常の大腸菌とは別に、O-157とか、今回の、O-111という種類の大腸菌は、強い病原性をもっていて、体の中で毒素を出し、出血を伴う腸炎を生じます。さらに、溶血性尿毒症症候群といって、腎臓の障害も生じ(6%)、生命も脅かす強い病原性のある菌なのです。

対策としては、
●生肉は食べるなと言うことではありませんが、生肉は、加熱した料理よりも、含まれている菌が多いことは事実ですから、風邪をひいている時、お腹がゆるいとき、体調の悪いときなど、抵抗力がおとろえているときには、生肉を食べるのを控えた方がいいでしょう。特にお子様と高齢者の注意が必要です。
●また、今回は、飲食店で出されたもので生じたものですが、これから、夏場、家庭での食中毒が多くなりますので、予防の三大原則を示します。
菌を、つけない、増やさない、殺す です。
(1)菌をつけない:調理器具(まな板、包丁)をよく洗浄する(肉と、野菜で分ける)。トイレから出てきて調理するときは、手洗い。
(2)菌を増やさない:お肉などを買って家に帰ったら、すぐに冷蔵庫、冷凍庫へ入れる。冷蔵庫は10度以下、冷凍庫-15度以下が好ましい。冷蔵庫も詰めすぎない。
(3)菌を殺す:食材の芯まで、なるべく加熱する(75°で1分)、食器乾燥機も効果あり。