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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2009年6月13日土曜日

WHOの見解

WHOの新型インフルエンザに対する警戒水準が、オーストラリアなどでの感染増加を背景に、フェーズ5からフェーズ6に引き上げられました。ただし、現段階では、感染の大半が、特に治療の必要がない程度の軽症患者が多いことから、WHO事務局長は、「警戒水準の引き上げに当たって、渡航制限、旅行、企業活動自粛など人やモノの移動を制限する措置が必要のないこと」を説明し、各国に冷静な対応を求めています。
この報道は、もちろん国内では取り上げられたものの、なんら大きな動きはありません。旅行会社は大きな打撃をうけ、経済、教育界にも大きな影響を及ぼしているのが国内の現状です。国内での秋の第二波に準備するべく、WHOのいう冷静な対応がまさしく必要です。発熱外来の電話応答がメディアで報じられている状況をみましたが、発熱外来への受診を指示される人と一般病院の外来でかなわないとされる人の線引きが、電話での問診では極めてあいまいです。国内に入ってくる前からわかっていたことですが、軽症例がほとんどであることを鑑み、発熱外来の存続意義が問われます。もやは、発熱外来の役目はないのではないかと思います。通常の季節性インフルエンザと同様、一般の病院で、診断、投薬するべきなのではないでしょうか。今こそ、国の指導力が問われる時です。