ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2010年8月19日木曜日

夏冷え


日本テレビ、スッキリ!!にて、夏冷えについて、8月19日に概説しました。

●夏冷えの現状
女性の過半数の方が悩んでいるという報告されています。特に20代、30代の方で困っている方が多く、冷えを感じる部位としては、手足、肩、腰の順で多いのです。単なる手足や体の冷えという症状だけでなく、対策をしないでいますと、倦怠感や頭痛、肩こりや腰痛、下痢、そして不眠症など、様々な症状へ進んでしまいます。中には、自律神経失調症と診断されていて、実は冷えが原因であったという例もありますし、一年中、体が冷えて体調が悪いという慢性的な冷え症でつらい思いをされている方もいます。
●そもそも「夏冷え」って何?
夏の冷えは、外気温が高くなる屋外と、冷房で冷え切った室内との往復で、
体の自然なリズムがくるってしまうことが大きな要因です。自律神経のバランスが乱れて、いわゆる、血のめぐりが、わるくなることです。冷房だけでなく、冷たい飲み物や食べ物の摂取、栄養不良、薄着なども影響があります。
●クーラーのベストな温度は?
屋外と室内との温度差は、5度以内でとどめておくことがよいと言われています。今年の夏ですが、外では35度を超える猛暑ですから、室内との温度差が
10度にもなってしまいますので、体に、もともとある、体温調節機能を麻痺させてしまい、夏冷えの最大の原因になってしまうのです。クーラーの推奨される温度というのは、温暖化対策や、省エネなどの背景もあり、28度とされてきました。しかし一定の温度にこだわらず、夏冷え予防という点から考えると、暑い日ほど、室内のクーラーの温度は、高く方がよいことになります。ただし、あまり高すぎると、室内での熱中症発生にもつながるので、注意してください。また、夜間は、クーラーのタイマーなどを使用することもよいでしょう。
●対策法は??
【衣類】腹部を冷やさず、保温性のある下着や、厚手の靴下をはくことが重要で、体の内側の、保温にも効果的です。その際、素材としては、汗をしっかり吸い取ってくれ、通気性のあるものがよいとされています。
【食べ物】冷たいものばかり食べずに、暖かいものもとってください。つづいて、体を芯から温める食材として、しょうが、ニンニク、スパイス、ねぎ類などもよいと言われています。韓国料理などの辛い物も、夏冷えの予防としては理にかなっています。そのほか、ビタミンE,Cなども、血行を良くします。
【生活習慣】体を動かすことが重要で、これによって血液の循環もよくなります。一日、10分の散歩だけでも効果はあります。また、暑いからといって、シャワーだけで済ませないで、ゆっくりぬる目のお湯につかることもよいです。湯船につかることで、体の内部、内臓をもあたため、夏冷えに効果があります。入浴剤なども、体の深部をあたためる効果があります。夏の冷えは、自律神経のバランスを崩すところから多彩な症状が出てきますので、そこに、精神的なストレスが加わるとさらに症状を悪化させることになります。ストレス緩和もとても重要です。