ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2009年9月5日土曜日

政権交代と舛添厚生労働大臣

 総選挙は民主党が圧勝に終わりました。政権交代によって、医療現場がどう変わっていくのか、まだまだ全く不明瞭です。少なくとも民主党が選挙前にかかげた医療に対する政策は、再検討する必要があると危惧しています。民主党がかかげる医師数の1.5倍増員にも、各大学医学部が受け入れ困難と難色を示しています。私は、医師の偏在化(地域間の偏在、診療科別の偏在)の打開策を考えない限り、医療崩壊は止まらないと思います(私の著書、『産科医が消える前に』、朝日新聞出版に記述http://www007.upp.so-net.ne.jp/morita/)。医師の偏在化の是正こそ、医療崩壊を止める鍵だと感じます。
 さて、選挙前後、ましてや政権交代とすると、各大臣の存在感はなくなり、大人しくしているのが通常でしょうが、今回の舛添厚生労働大臣だけは、輝いて見えました。日本で第一号患者が出たときの記者会見や、その後の水際対策には、批判的な意見も多く、私もこのブログで批判してきました。しかし、今の舛添大臣は、違うように思いました。9月4日の時事通信によれば、
 「厚生労働省は4日、新型インフルエンザのワクチンについて、接種対象者の優先順位案を発表し、診療に当たる医療従事者を最優先とし、次いで妊婦と持病のある人、小学校就学前の小児、1歳未満の乳児の両親の順で優先グループとした。同省は国民から意見を募集。専門家や患者団体側の意見も聴き、月内に正式決定する。国内4社が来年3月までに製造可能なワクチンは約1800万~3000万人分にとどまる見通しで、優先グループにまず割り当てる。小中高校生と高齢者には国産が足りない分、海外メーカーから輸入したワクチンを用いる。輸入ワクチンは当初、国内の臨床試験(治験)を省略する「特例承認」を検討するとしていた。しかし、国内で使用されたことのない免疫補助剤(アジュバント)が添加されており、副作用リスクが高いとみられることから、接種開始前に小規模な治験を行い、接種後に問題が生じた場合には使用を中止することにした」。
 立つ鳥跡を濁さずという言葉がありますが、最後の最後まで、よくがんばっている様子を感じました。少なくとも、新型インフルエンザに対しては、自民党が四苦八苦し、試行錯誤して、ここまでにたどり着いた経験が、民主党へ円滑に引き継がれることを祈願します。