ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2010年10月3日日曜日

今年のインフルエンザについて想う

 今年は猛暑の夏でしたが、急に寒くなったり、また暖かくなったりで、気温の変動がきわめてはげしい今日この頃です。猛暑による体力の消耗、最近の気温の変化などにより、体の抵抗力がかなり低下しています。すでにいくつかの学校ではインフルエンザによる学級閉鎖の報告もあるようで、これから、季節性、新型を問わずインフルエンザの発症には注意が必要です。
今年の特徴を以下のように考えました。
●昨年大騒ぎとなった新型インフルエンザですが、季節性にくらべ重症化率も低く、死亡率も季節性の10~50分の1と、弱毒であることが、昨年末、判明したので、新型に対して季節性と分けて特別な配慮をする必要はないであろう。
http://morita2009.blogspot.com/2009/12/blog-post.html
●例年11月下旬からが流行のピークだが、今年は、気候の劇的な変動を考えると(気温の低下、体の抵抗力の低下)、ピークはやや早くなるかもしれない。10月中旬からの警戒が必要であろう。
●ワクチン接種に関しては、昨年のような、新型ワクチン獲得騒ぎを起こすことはなく、今年は、摂取優先順位もなく、供給量にも余裕があり、希望どおりに摂取できるであろう(新型、A香港型、B型の三種混合ワクチン)。
●ワクチン接種から免疫能獲得まで、おおよそ2週間が必要なので、特に今年は、早めのワクチン接種をお勧めしたい。
●ワクチンを接種したからといって、インフルエンザにかからないというわけではなく、最も重要なのは、うがい、手洗い、規則正しい生活など、いわゆる自分でできる感染防御対策です。
●タミフル、リレンザに加え、インフルエンザに対する治療薬を、わが国ではきわめて異例ながら迅速に承認。本年1月17日に、ペラミビル(塩野義製薬)が、本年10月19日に、イナビル(第一三共製薬)が、第三、第四のインフルエンザ治療薬として発売になる。これにより、インフルエンザに対してたたかう手段(薬)が多くなる。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
【ペラミビル】、一回15分の点滴のみで、タミフル、リレンザ5日投与と同じ効果がある。点滴投与なので、意識障害がある人、人工呼吸器をつけている人、経口摂取が困難な人にも投与できる。
【イナビル】、リレンザと同じ吸入薬ですが、一回の吸入のみで終了(5日間の投与は不要)。利便性や服用の手間が少なくなる。より確実な治療の完結を可能にする。