2016年12月21日水曜日

インフルエンザ予防にうがいは効果なし!?

12月6日のモーニングCROSSで、インフルエンザ予防にうがいは効果なし!?
について解説しました。
今年の流行が例年より8週間も早かった理由は正式には報告されていないが、今年の気候と関係があったのではないかと思う。朝夜の寒暖差、日々の寒暖差が原因で、体がバテ、抵抗力が衰えていた可能性が高い。
 

8週間早く流行が始まったからと言って、早めに流行が終わるとはいいがたく、
よほど温かい春が早めに訪れない限り、今シーズンの患者数は大変多くなるものと考えます。
 
 

インフルエンザの感染経路にはこの二つがある。
インフルエンザ感染者の唾液などが付着している、ドアノブ、食器、ドアノブなどを健常者が触って、それが口などに入る。ただ、もっと可能性が高いのが、飛沫感染。
これは、咳のしぶきが、見えないぐらいの大きさで、喉などの粘膜などに入る経路。




今年11月に厚生労働省が作成したポスターには、この接触感染、飛沫感染予防のために、しっかり手洗い、きちんとマスクと書かれてある。しかし、うがいが記載されていない。2008年ごろからうがいの記載が削除されたようだ。

また、首相官邸のHPには、うがいは、インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません。とはっきり明記されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/influenza.html

その理由について公的機関は何も言っていないが、
たとえば、隣にいる人がインフルエンザで咳をする、私がそのしぶきを吸い込む。そうなると、のどなどにインフルエンザウィルスが付着してから、たった20分以内に細胞に侵入してしまいます。そんなに頻回にうがいをすることは実質無理だから、予防効果がないと考えられるようになった。

だから、家に帰ったらまずうがいというのは、インフルエンザ予防という点ではあまり効果がないのだ。
それよりもむしろ、インフルエンザウィルスをやっつける働きのあるカテキンの入った緑茶や、テアフラビンが入った紅茶を、こまめに飲むことが効果的と考えらえれている。電車の中、会議中などにとてもよい。
インフルエンザウィルスは胃の中に入っても、胃酸で分解されるので、心配はない。



予防には、十分な睡眠、偏りのない栄養などだが、なんといってもワクチンを打つこと。
よくワクチンをうってもインフルエンザに罹ったという人もいるが、確かに発症をすべて抑えるわけではないが、発症率を下げるし、かかった時の重症化率を低くする。

こんな興味深い研究結果も
バーミンガム大学の実験で、276人を2つのグループに分け予防接種を行った。
Aグループは午前(911時)に予防接種を実施
B
グループは午後(1517時)に予防接種を実施
その結果、インフルエンザウィルスの抗体がより多く出来ていたのは、午前中に摂取したAグループであるとの研究結果が示されたのだ。なんと、4倍も抗体が多くできていたのだとか。鍵を握るのは「T細胞」と呼ばれる細胞。T細胞には、体内の免疫力を高める機能があり、午前中に活発に働く可能性が高く、免疫力だけではなく、ワクチンの効果まで高めるのではないかと推測されているのだ。

 ただし、まだ一つの施設からの研究であり、抗体が高まったという結果であって、発症率が下がったという結果ではないことや、多施設からの研究、すなわち大規模であるメタアナライシスという高い医学的根拠ではないので、「さあ皆さん午前中にワクチンを受けましょう」というほどのものではない。また午前中は比較的、患者さんが多いのでワクチンを受けに行って、移される機会も多いことなどから、直ちに推奨できるというものではなく、今後の研究を見守りたい。